春画あれこれ

芸術新潮 二月号』の特集部分(「大特集 浮世絵 vs 世界のエロス 春画ワールドカップ」)だけを読み終えました.日本の浮世絵春画だけでなく,世界各地のエロチックアート(全部で23カ国)から7つをえらんで,紹介しています.中国やインドやトルコや,さまざまあるなかで,わたくしは古代アンデス文明の土器をおもしろく見ました.きわめてロコツで,即物的で,稚拙なところがいいですね.中国やヨーロッパの春画は,日本のそれと比べたならやはり稚拙というか,芸術的に劣っているのはあきらかですが,しかしそういっただけでは済まない面があるようです.世界観のちがいというか,あるいは春画にたいするスタンスのちがいなのでしょうか.中国の春画には宇宙の調和を示す意図があるらしく,また近代ヨーロッパの絵画にはキリスト教の倫理観のウラにひそむスケベな感情が(ひそかに)盛りこもれていたみたいです.これらを比較して見ることで,「春画」に関するよりひろい視野を得たようにおもうのは,わたくしの一人合点なのかもしれませんけど,いろんなものがあるな〜という印象をもったのは事実です.なお,エロティックアートへの姿勢という点でもっともおどろかされたのが,インドのカジュラーホという村に残る寺院壁面の浮き彫り彫刻です.よくまあ,こんなのをつくったものですね(笑).