レベルの高い入門書

宮下規久朗『知っておきたい世界の名画』(角川文庫,角川学芸出版角川グループパブリッシング,平成二十四年一月)読了.これは文庫オリジナルなんでしょうか.宮下氏の編著である『不朽の名画を読み解く』(ナツメ社)と重複している部分もあるそうですが,「すべて新たに書き下ろした」そうです.全部で50点の西洋美術を,I 巨匠の時代のはじまり ゴシックからルネサンス., II 西洋絵画の栄光と頂点 バロックロココ., III 近代絵画の多彩な展開 モダニズムの時代.の3部にわけて紹介しています.なにが描かれているのか,どういう描き方であるのか,作者はどんな人物であるのか,といったことをきわめて簡潔にわかりやすく解説しています.西洋美術についての格好の入門書といっていいでしょう.なお,とりあげた全50点に3種の星印を付けて重要度を示しており,最高の三つ星印(「死ぬまでに一度は見るべき人類究極の至宝」,5作品)にはミケランジェロアダムの創造」,ラファエロ「聖ペテロの解放」,ファン・アイク「ゲントの祭壇画」,グリューネヴァルト磔刑(イーゼンハイム祭壇画)」,ベラスケス「ラス・メニーナス」をあげています.この評価にたいして,美術ファンの方々はどんな反応を示されるでしょうか.伺ってみたい気がします.