妖精あれこれ

三鷹市美術ギャラリーで ≪フェアリー・テイル 〜妖精たちの物語〜 展≫ を見ました.「井村君江氏の旧コレクションで、現在はうつのみや妖精ミュージアムと妖精美術館(福島県金山町)で展示されている作品を中心に、ヴィクトリア朝時代(1837-1901)の妖精にまつわる様々な作品をご紹介」しています.幻想的なもの,ちょっとおそろしい雰囲気のあるもの,コミカルなものなど,いろいろです.井村氏が編まれた『妖精美術館』(レベル,平成19年11月)で知っていた作品もありますけど,実物に接したときの印象は,格別です.アメリア・ジェイン・マレーの作品なんかは,細部を見るには拡大された図版のほうがいいんですが,10cm四方ていどのおおきさに,いかにも小品といったおもむきを感じとることができます.台紙の,絵をとりかこむ部分に装飾的な模様を置いてエンボス加工しているのも,優雅でいいですね.他の作者・作品も,どれもそれぞれ個性的でおもしろく,たのしむことができます.が,やはりもっともすぐれているのはリチャード・ドイルでしょう.妖精画の最高峰をきわめた,といっていいかと,おもいます.そのドイルをはじめとする,おおぜいの画家たちによる挿絵本も展示されていましたけど,それよりもおどろかされたのがウェッジウッド社製の陶磁器です.ボウルや花瓶などに,ラスター彩のキンキラキンで内側も外側もあますところなく,妖精や樹木やらの装飾をほどこす執念(?)には圧倒される,というか,むしろあきれてしまうほどです.