例によっておかしな設定

竹本 泉『ながるるるるるこ』(芳文社,2012年 4月)読了.竹本氏の作品はおかしな世界でのできごとであることが多いんですが,それでもたいていはそれがどんな状況・どんな世界であるのかの説明がなされています.ところが,今回の「ながるる〜」はまったく説明なし.主人公には猫耳が付けられていて,「図書館の司書先生」というヘンないきものたちとの交信に役だっているらしいのですけど,本当のところはよくわかりません.はっきりしているのは「ふーナ」という猫や「トッツクネー」と呼ばれるトカゲといった登場人物(?)は竹本氏の既存のキャラを流用しているということです.あらたなキャラクターをつくる手間をはぶいた安易なやりかただ,という批判もありうるでしょうけど,それよりは作者がじぶんの世界をパロディー化して楽しんでいる,と見たほうがいいのではないかとおもいます.ストーリーも,「ねこめ〜わく」と「さよりなパラレル」を足して二で割ったような感じがします.