3.11の影響

流水りんこ『インド夫婦茶碗 17』(ぶんか社,2012年 5月)を読みました.内容は従来のこのシリーズと変わらず,著者の家族や学校やPTAのことやらで,それらはそれなりにおもしろいんですが,今回わたくしが興味をもって読んだのは「夫婦茶碗110杯目」です.「アルナが小学校を無事卒業しました」と書き出されているのですけど,「東北地方太平洋沖地震の影響で」「4年間がんばってやってきたキャッチバレーボールの大会も中止になり」「卒業前の記念学校イベントもほとんど中止」「卒業式も来賓のあいさつもPTA会長のあいさつも祝電紹介もあらゆることをはしょり」「参列した母親などもほとんどがパンツ・スーツ」だったとか.地震の影響がこんなふうにあらわれた,ということをあらためて見せつけられたようにおもいます.そしてまた「原発事故がおこってから2週間の間/インドの親類と友人中から1日10回から多い時で20数回も国際電話がかかり」,インドに帰ってこいとの提言ばかりを受け,「とにかくこの時日本にいた外国人は本当に大変だったようで」「心配してくれるのはうれしいけどちょっと疲れたのが本音」とも書かれています.3.11を論じた文章や本は数おおく出されていますけど,マンガ家さんがじぶんの体験をこうしたエッセイマンガで対象化することの方に,(後世への)資料的な価値があるのではないかと,かんがえてしまいます.