英泉の世界にひたる

千葉市美術館で ≪浮世絵師 溪齋英泉≫ を見てきました.会期中に一部展示替えがあるそうですが,300点あまりを一挙に見ることができたのは,眼福というほかありません.芝居絵や風景画,花鳥画や風俗画などもありましたけど,英泉といえばやはり,爛熟的・頽廃的な美女たちがまっさきにおもいうかびます.「契情道中双」(cat. nos. 217-271)はその集大成といっていいでしょう.東海道五十三次に吉原の遊女たちを対応させてシリーズとした点に,当時の趣向の極致を見ることができるかと,おもいます.描かれたおいらんたちの姿勢,しぐさ,衣装,背景や小道具など,ひとつとしておなじものはなく,たっぷりとその魅力をつたえてくれます.打掛にクジャクや龍など,かなり異様なデザインがあるのも,おもしろいですね.他の美人画も,組み物(シリーズ)としたものが多いのに,今回,気づきました.この展示は,できれば再度見にいきたいものです.
は女偏に「彔」