「装身具」という概念だけにはおさまらないような・・・

事情があってカキコミがおくれてしまいましたが,昨13日にLIXILギャラリーで ≪聖なる銀 アジアの装身具≫ を見ました.中国からトルコまで,アジアを5つの地域にわけ,銀の装身具270点ほどを展示しています.すべてが銀製であるのではなく,洋白といういわば銀のマガイモノもあれば,ビーズやガラス玉と組み合わせたものなど,いろいろです.どれもすごいですね.櫛やかんざしのような頭を飾るもの,こめかみ飾り,耳飾り,頸飾り,指輪,腕輪,胸飾り,腰飾り,足飾り・・・.インドには足の指輪というのもあるそうです.大きさやデザインもいろいろ.吉祥模様を刻んだもの,鈴などを仕込んで音が出るもの,呪術的な意味をもつもの,富や権威を示すもの,化粧品類の容器としても使える実用的なものなど,多種多様で,じつに圧倒されます.ところで,展示品のなかに「「カンジャール」と呼ばれる、オマーン儀礼用短刀」がありました.「オマーンとイエメンの男性は腰の前に短刀を差す(イエメンでの呼び名は「ジャンビーヤ」)」(図録,p. 64)だそうで,「男性は「ジャンビーヤ」という、美しい装飾を施した三日月形の短剣の装身具をベルトに差す」(図録,p. 68)というコメントを付した写真もあります.このような短刀は「エロイカより愛をこめて」のなかで見たようなおぼえがあるので,さがしたところ,「No. 20 ビザンチン迷路」に出ていました.ジェイムズくんが宝剣を売りつけようとする骨董屋の店主は「これはジャンビアって種類の短剣で刀剣のなかでも人気がありますからね」といっています.青池保子氏がこうしたこまかいところまでくわしく調べて描いていたのに,あらためて敬服しました.