裏方のしごともけっこう大変なようです

国立劇場伝統芸能情報館のレクチャー室で開催された「第37回伝統芸能サロン 文楽人形 首(かしら)のはなし」にいって,文楽の首にまつわるあれこれのはなしを聞いてきました.講師は国立文楽劇場舞台技術課文楽技術室の村尾 愉氏.首の保守や修理にたずさわっておられるそうです.首の構造,製作の過程,首の種類,顔色の塗り替え,修繕などなど,わかりやすく説明されました.すでに本で知っていたこともありますけど,実物(および写真)を用いてのはなしは具体的で,舞台裏のこぼればなしなんかもあったりして,どこもおもしろく聞きました.圧巻は,首に塗られた胡粉と和紙をじっさいに剥がすのをOHPで映しだしたところです.白やピンク色が塗り重なっているのがはっきりとわかりました.鬘を打ちつけた釘の痕を写した写真を見ると,なんだか人形がかわいそうにおもえてきますが,これも埋め木をしたり,あたらしい木で作りかえたりと,修理・修繕をほどこして,あらたに再生させるとのこと.そういった作業のほか,胴串が割れたとか仕掛けの糸が切れたといった舞台上でのアクシデントにもそなえて待機しているとのことで,裏方のしごともなかなかに大変なようです.すくない人員で従事されているのには,まったく頭がさがります.それに対し,補助金助成金の使途や実態の監査と称して,個人的な趣味・嗜好をもってくちばしを入れようとする某市長の行為は,公私混同であり職権乱用であって,怒りをおぼえずにいられません.