歌舞伎・文楽

さすが伝統芸能

国立劇場がマスコット・キャラに長唄舞踊を踊らせる動画をつくった,という記事を読んで,検索してみました.いくつかのサイトがあるようですが,そのうちのひとつを貼っておきます.https://www.youtube.com/watch?v=Idw8PHP4yCw さすが国立劇場というか,…

久しぶりの文楽

国立小劇場で『仮名手本忠臣蔵』を見てきました.文楽にいったのは,昨年9月以来です.歌舞伎や文楽への興味が萎えてしまって,見たいという気が起きなかったのですが,今月の文楽公演は大序から十一段目までの通しですので,これならば一見の価値ありとかん…

文楽と歌舞伎の写真展

神田駿河台の ESPACE BIBLIO というところで「渡邉 肇 写真展 人間浄瑠璃 第一回 文楽至宝尽の段」を見てきました.渡邉氏は1964年生まれの写真家で,ここ5年間に5万枚あまりの文楽にかんする写真を撮影されたそうで,そのうち30点ほどの作品を展示してい…

親しみやすい入門書

桐竹勘十郎・吉田玉女『文楽へようこそ』(小学館,2014年 4月)を読みました.勘十郎師と玉女師による「私が好きな演目ベスト10」がはじめに写真で紹介され,おふたりの対談や,演目についての解説,人形の「首いろいろ」,「文楽ゆかりの地」などの情報の…

三題噺というわけでもないんでしょうが

渡辺 保『煙管の芸談』(幻戯書房,二〇一四年四月)を読みました.「煙草」「酒」「水」の3部に分かれています.あらたに書き下ろされた,まえがきに当たる章で,著者の個人的な体験も折りこみながら,これらの道具(というか,テーマというか,あるいはア…

住大夫師へのラブレター(?)

高遠弘美『七世竹本住大夫 限りなき藝の道』(講談社,二〇一三年九月)を読みました.著者は1952年生まれのフランス文学者で,「失われた時を求めて」の個人全訳をめざしているそうです.そうしたひとが「そろそろ五十の声を聞く頃」にはじめて文楽に接して…

なんとも辛辣な見解

インターネット上をネットサーフィンしていたところ,辛辣な批評を見いだしました.よくもここまでいい切ったものです.歌舞伎ファンのなかで,この意見はごく少数派に属するのではないでしょうか.わたくしとしては,この見解にたいして,賛否ほぼ半々とい…

概説書のように見えて,ポレミックな本なのかも・・・

倉田喜弘『文楽の歴史』(岩波現代文庫,岩波書店,2013年 6月)読了.「はじめに」に「文楽に関する書物は数多く出版されているが、三業にわたる通史のような歴史書はない。太夫が語る浄瑠璃にこそ精度の高い文献は多いが、三味線や人形の歴史は多分に無視…

好もしい著書であるだけに,あえて苦言を

山川静夫『歌舞伎は恋 山川静夫の芝居話』(淡交社,平成25年 6月)を読みました.『演劇界』に連載した随筆を中心に,種々の雑誌などに寄せたエッセイを<第一章 歌舞伎は恋/第二章 かぶきのたて糸・よこ糸/第三章 かぶきことばあれこれ/第四章 忘られぬ…

文楽人形のすごさがわかります

池袋の<あうるすぽっと劇場ホワイエ>というところで河原久雄氏の写真展 ≪近松門左衛門の世界≫ を見てきました.「第三回」とあるので,これまでにもおこなわれていたのでしょうか.たまたまこの催しのことを知ったのでいってみたんですが,すばらしいです…

歌舞伎座をめぐるあれこれ

『和樂 六月号 特集 新しい歌舞伎の時代がやってきた!』を買いました.歌舞伎座の新開場を記念しての企画で,「坂東玉三郎と巡る新しい歌舞伎座」など歌舞伎関連の記事がいろいろとあります.ごく一部をひろい読みしただけですけど,「歌舞伎名作十演目入門…

昭和芸能史への一証言

山田庄一『上方芸能 今昔がたり 昭和の舞台覚え書き』(岩波書店,2013年 3月)を読みました.山田氏は「1925年大阪生まれ.[・・・]1947年京都帝国大学医学部薬学科卒.岐阜薬科大学助教授,毎日新聞記者を経て,1966年国立劇場の開場にあたり創立メンバーと…

歌右衛門にまつわるあれこれ

エンパクで ≪六世 中村歌右衛門展 思い出の名舞台≫ を見てきました.「『籠釣瓶』八ツ橋や『娘道成寺』花子のほか『本朝廿四孝』八重垣姫、『隅田川』斑女の前、『壇浦兜軍記』阿古屋など、歌右衛門が歌舞伎座で青年時代から演じ続けた当り役の数々をとりあ…

歌舞伎あれこれ

『東京人 五月号』を買いました.「特集 いざ、歌舞伎へ」と銘打っており,新開場した歌舞伎座のことや注目の役者,歌舞伎の歴史など,さまざまな角度からのアプローチがなされています.ごく一部をひろい読みしただけですけど,伊達なつめ氏の「三代目猿之…

歌舞伎のあれこれを示す

サントリー美術館で ≪歌舞伎 江戸の芝居小屋≫ を見ました.「歌舞伎座新開場記念展」と銘打っており,「第一章 劇場空間の成立/第二章 歌舞伎の名優たち/第三章 芝居を支える人々」という構成になっています.屏風や浮世絵,台帳,番付などさまざまな資料…

訃報2件

団十郎丈の訃報に接しました.なんともいうべきことばがありません.歌舞伎座新開場をまぢかにひかえての死は,本人にとってさぞ無念であったことでしょう.若いときには,やれ発声がおかしいのなんのとあれこれいわれていましたが,それでもこのひとにはう…

歌舞伎学会2日目

2日目のきょうは研究発表5本を聞きました.歌舞伎研究の進化につれて,研究対象は細分化され,考証は精緻になって,それはけっこうなことなんですけど,それらの研究がどういうジャンルに属し,どういう位置にあるのかがわかりにくい,という面もあるよう…

歌舞伎学会秋季大会

武蔵野美術大学でおこなわれた歌舞伎学会の秋季大会にいってきました.1日目のテーマは「歌舞伎・文楽と近代美術」です.武蔵美の名誉教授である小石新八氏の講演は「現代舞台美術と歌舞伎大道具」と題されていますけど,舞台美術や大道具だけでなく,劇場…

裏方のしごともけっこう大変なようです

国立劇場伝統芸能情報館のレクチャー室で開催された「第37回伝統芸能サロン 文楽人形 首(かしら)のはなし」にいって,文楽の首にまつわるあれこれのはなしを聞いてきました.講師は国立文楽劇場舞台技術課文楽技術室の村尾 愉氏.首の保守や修理にたずさわ…

入門書? 研究書?

橋本 治『浄瑠璃を読もう』(新潮社,2012年 7月)を読みました.「あとがき」に なんでまた義太夫節の浄瑠璃かと言えば、近代になって成立する小説の先祖が江戸時代の人形浄瑠璃劇だと私が思っていて、今でも好きな人は好きではあるけれど、多くの人にとっ…

歌舞伎評論?

犬丸 治『「菅原伝授手習鑑」精読 歌舞伎と天皇』(岩波現代文庫,岩波書店,2012年 4月)を読みました.「序章」の冒頭に「「歌舞伎と天皇」について、考えていこうと思う」とあるとおり,たんなる評論や解説とはちがうようです.「序章」では江戸時代の歌…

多才・多彩な意欲におどろく

エンパクで ≪六世中村歌右衛門展 わたしの好きな歌右衛門≫ を見ました.昨年は「私の愛したお役」というサブタイトルでしたけど,「本年は、「わたしの好きな歌右衛門」と題し、ファンの視点から歌右衛門丈の軌跡をたどります」とチラシにあるとおり,「すべ…

よくわかるようになったような,そうでもないような・・・

国立劇場の歌舞伎公演「一谷嫩軍記」を見ました.九十八年ぶり(!)の復活である「堀川御所」を序幕に据え,昭和五十年以来の上演となる「流しの枝」を二幕目とし,「熊谷陣屋」につなげています.薩摩守忠度や岡部六弥太は,どんな人物でどんな活動をする…

歌舞伎学会2日目

きのうにひきつづき,東京学芸大学でおこなわれた歌舞伎学会の秋季大会に参加してきました.午前中に3本の発表,午後は「近世文学・文化の広がりと歌舞伎」というはば広い観点からの講演とシンポジウムがおこなわれました. 日清戦争に取材した「会津産明治…

特殊なテーマだけど,おもしろい

平成23年度歌舞伎学会秋季大会に参加して,3本の研究発表を聞いてきました.標題に記したとおり,どれも特殊な(周辺的な)テーマをあつかっていますけど,おもしろく,聞きごたえのある内容でした.もっとも,「周辺的」などというと,それではなにがオー…

秀太郎丈の芸談

片岡秀太郎『上方のをんな 女方の歌舞伎譚』(アールズ出版,2011年12月)を読みました.サブタイトルの「歌舞伎譚」には「しばいばなし」とルビが振ってあります.芸歴65年にして,ことし古稀をむかえた著者の,(おそらくはじめての)著書です.ご尊父であ…

詮索することのおもしろさ

杉並区立中央図書館で「講座 知の散歩道 『東海道四谷怪談』の『四谷』はどこか?」を聞きました(講師は光延真哉白百合女子大学講師).「四谷怪談」の「四谷」は,現在のJR四ツ谷駅ちかくかと(ばくぜんと)おもってしまうのですけど,これがじっさいど…

團十郎という名の威力

大隈講堂で演劇講座「七代目市川團十郎の芸と波瀾万丈の生涯」を拝聴しました.整理券配布開始時刻(10:00)の5分前に着いたんですけど,すでに100名ほどの列ができていました.すごいですね.これは七代目團十郎への関心のたかさを示すものなのでしょうか…

演目について

昨日,国立小劇場の文楽公演にいってきました.その感想をこのブログに載せるべく,あれこれと書いたんですが,どうもうまくまとまらなかったので,やめてしまいました.本日,一日遅れにはなりますけど,感想文をなんとかまとめようとして,きのう書いた部…

キワモノ?

江宮隆之『團十郎と海老蔵 歌舞伎界随一の大名跡はこうして継承されてきた』(学研新書094,学研パブリッシング/学研マーケティング,2011年 8月)を読みました.さて,はなしはまるで変わりますけど 6月26日に日本橋室町野村ビル(YUITO)で織田紘二氏の講演…