現実より少し早めに花見を

事情があってカキコミがおくれてしまいました.以下の記述は昨16日のことです.
GAS MUSEUM がす資料館で ≪サクラの花と開化名所展≫ を見ました.解説のチラシに「桜の花は明治時代になると、開化風俗と合わせて多くの錦絵に描かれ、作品に彩りを添えていました。/今回は開化風俗を代表する銀座煉瓦街をはじめ、東京各所に造られた建物や橋などの建築物、横浜の街並みや上野で開催された博覧会の様子など、サクラの花に彩られた明治の新名所や催し物などを紹介する、錦絵33点を展示致します」とあるとおり,ピンクや赤の桜をかずおおく画面内に見出すことができます.が,錦絵を見るひとびと(およびこれを描いた絵師たち)の関心は花よりも「開化風俗」に向けられていたのではないでしょうか.「東京築地ホテル館表掛之図」や「東京開化名所 鍛冶橋内東京裁判所之真図」など建物そのものを描く(紹介する)錦絵があり,作品名にも「煉瓦石造」とか「煉化石」といった文字がならんでいます.「石造」の「建築物」が主役で,「花」は「背景」ないしは「添え物」なのかもしれません.こういった傾向も,明治初期(ないし中ごろまで)の時代感覚なのだとすれば,GAS MUSEUM の収蔵品は,明治の錦絵の芸術的できばえはさておいて,当時の価値観をしめす貴重な資料であるといえるかと,おもいます.