おおやちき氏の多彩な世界

森下文化センターで ≪おおやちきの世界展≫ を見ました.わたくしが読んだのは『おじゃまさんリュリュ』と『キャンディとチョコボンボン』(ともに小学館文庫),『回転木馬』(小学館,2011年 3月)だけで,いかにも少女マンガふうな作品なんですが,そのいっぽうで一条ゆかり氏の「デザイナー」の柾という特異なキャラクターがおおや氏の手になるものだということを聞いていたので,これはただものではないなとおもっていたんですが,今回の展示によって,おおや氏のつくりだす世界がじつに多彩で多様であることを実感しました.マンガのほか,イラストやパズル作品など,多分野にわたる創作がなされています.原画はどれもうつくしいですね.ほかに,どこに発表したのか(注記がないので不明ですが),北斎の「神奈川沖浪裏」のパロデイーが気に入りました.原作の構図をふまえつつ,浪のうえに人魚の花魁がいたり,筏に乗るひとや浮き輪であそぶひとがいたり,舟のうえでフラダンスを踊るひとたちもいて,元ネタとはまったくちがう雰囲気をつくりだしており,笑ってしまいます.