モダンな感覚におどろく

さいたま市立漫画会館で ≪北沢楽天原画展 『時事漫画』≫ を見てきました.「日本初の新聞日曜版・大正10年創刊」というサブタイトルが付されています.明治15年福沢諭吉が創刊した『時事新報』には明治35年に「時事漫画」コーナーが登場し,さらに大正10年から日曜版『時事漫画』が別冊として刊行され,昭和7年までつづいたとのことです.世相や政治状況を諷刺するもののほか,コマ漫画,写真や読み物,「十字語判断」と称したクロスワードパズルなど,多彩な内容であったようです.今回はその原画80点を「初めて一般公開する大変貴重なものです」とチラシにあるとおり,いくつかの作は本(たとえば清水勲『図説 漫画の歴史』(河出書房新社,一九九九年七月)など)で見たこともありますけど,これだけそろっての原画の展示はめずらしく,たしかに貴重な機会といえるでしょう.楽天の弟子たちによるものもあるので,絵柄はさまざまです.現代から見れば古くさいようですけど,当時のひとびとには,モダンな感覚にあふれたものと映ったにちがいありません.大正11年7月号に「電写鏡」と題する「テレビ電話」が出ているのにおどろかされました.