でかい!

国立新美術館で ≪貴婦人と一角獣展≫ を見ました.でかいですね,というのが第一印象です.このタピスリーをつくるのに,どれほどの人手と時間とお金がかかったんでしょうか.そしてそれを飾るだけのスペースを有するひとたちがいたということにもおどろかされます.さすがヨーロッパの貴族はちがいますね.宏大な城や邸宅を前提としてこそ,こういったモノがありえたのでしょう.注文主や歴代の所有者や原画を描いた画家など,近年の研究によってかなりあきらかになったようですが,それでもなお,謎めいたところがこのタピスリーにはあります.なにが描かれているのか,なにをあらわそうとしたのか,注文主はなにを期待したのか,わたくしたち(およびこれまでにこの作品に接したひとたち)はこれをどう読み解こうとしているのか,など,問題はいろいろありますけど,しかし,そんな謎解きはさておいて,見るだけでも,この作品を鑑賞する意味と価値があるというものです.「ミル・フルール(千花文様)」という,画面全面をおおいつくさんばかりの草花の装飾にはまったく圧倒されますし,主題である一角獣や獅子の表情にも,なかなかにおもしろいところがあります.鳥けものたちの姿も楽しいですね.この企画展は,図録に掲載されている解説や『芸術新潮 五月号 特集 ≪貴婦人と一角獣≫ に秘められた恋』や,その他いくつかの本を読んだうえで,あらためて見にいきたいとおもっています.