あいかわらずエネルギッシュなルポルタージュ

ヤマザキマリ・NHK取材班『ヤマザキマリのアジアで花咲け! なでしこたち』(メディアファクトリー,2013年 5月)読了.なでしこジャパンを追った記録かとおもったんですが,そうではなく,アジアの各地で活動されている女性たちを紹介したものでした.トルコで気球ツアーガイドやホテル経営をされているひととか,カンボジアでこどもたちに音楽を教えているひと,香港で広告代理店に勤めるひと,フィリピンでレストランを経営するひとなど,4名を取りあげています.各自の履歴や現在の境遇にいたった事情,それぞれの土地のありさまなどを文章とマンガ,そして写真で多角的に説明していて,興味深く読むことができます.カンボジアポル・ポト政権下では「音楽を弾いたり歌ったり踊ったりする人がいればたちまち殺されていた・・・」(p. 38)なんて,(わたくしの無知をさらけだすようで恥ずかしいんですけど)はじめて知りました.アジア各地の実情はじつにさまざまなようです.活動されている女性たちだけでなく,取材するヤマザキ氏自身を写真やマンガの対象としているところが,いいですね.カンボジアで,地面に絵を描いている男の子たちにまじって,ヤマザキ氏も絵を描いて,「気がつくと無数の子ども達に取り囲まれていた」(p. 40)シーンに感動しました.料理の写真が多いのも,いいです.「2週間で4つの国と地域を回って」きたそうで,なんともエネルギッシュな活動に感服します.さて,例によってのアゲツライですけど,「トルコが誇る世界遺産カッパドキア」についての説明に「総面積2500平方メートル、東京23区がすっぽり入る広さに、「妖精の煙突」と呼ばれる奇岩が立ち並んでいます。」(p. 22)とあるのは,なんともおそまつなミスというほかありません.