いいまちがいがおもしろい

蛇蔵&海野凪子『日本人の知らない日本語 4 海外篇』(メディアファクトリー,2013年 8月)読了.シリーズ第4弾は「「外国で日本語を学んでいる」ひとたちのお話です」とのことで,「第一章」から「第七章」まではフランスやベルギーなどの国別に日本語学習にかんするエピソードを,最終の2章は日本語の学び方あれこれと,失敗談(?)とを載せています.国別の章にはこぼればなしふうのこととか,各国のデータやクイズ,凪子先生の「旅メモ」と題する文章などがあって,雑学にちかいようなこともふくめて,おもしろく読むことができます.たべものの話題がおおいですね.が,やはりことばについて,それも「いいまちがい」をとりあげているところが,おもしろいです.たとえば「私は日本のエロドラマが大好き!!」という(女性の)発言に蛇蔵氏が赤面するシーンがありますけど,「メロドラマの間違いでした」とのこと(p. 88).また「チェコの田舎ってどんな所ですか?」との質問にたいする「べんぴなところです」とのこたえに,「辺鄙か!!」と気づくところ(p. 104)とか.こうしたマチガイはほかにもいろいろあるのですが,それをあげつらうのではなく,文化の多様性や相対化の問題として描いている(と,わたくしにはおもわれるのですが)姿勢に,好感がもてます.蛇蔵氏の「あとがき」の最後の部分を引用しておきます.

常識にも「絶対」はなく、文化が違えば変わるもの。何かを見るとき、自分の立ち位置からだけで判断せずに、様々な方向からの視点が持てるようになったらいいなと思っています。(p. 141)