なんともヘンな設定

竹本 泉『シンリャクモノデ 1』(KADOKAWA,2013年12月)読了.「侵略」とはおだやかならざることですけど,「ソノ1」では学園の中庭に「別の世界から入り込んでくるいろいろを」「送り返す」というテンマツが描かれます.このはなしがつづくのかとおもったら,「ソノ2」はまったく別の場所,別の人物たちによるエピソードになり,以後も各話ごとにちがう物語がくりひろげられます.ただし「侵略」というテーマ(?)は共通しています.「ソノ2」の侵略者たち(とその行動)はちょっとこわいですが,「ソノ3」は家の庭がさまざまな植物に「侵略」されるという,さほどでもないエピソードだといえるでしょう.それにしても,よくこんな設定をおもいついたものと,感心します.しかも雑誌連載時には「毎回最後に次回の冒頭部が2ページ」載っていたらしいのです.内容にみあった,やはりヘンな設定で,ここには作者のあそびごころを見るべきなのかもしれません.なお,「ソノ1」では主人公の「まみ乃」ちゃんが「交渉部に入らないか」とさそわれるシーンがあり,「交渉部って何をするの?」「たてこもり犯を説得するみたいな?」というセリフにつづいて,「お母さんが泣いているぞ」というカキコミがあります.これは,二・二六事件のさいの「兵に告ぐ」の引用(あるいはパロディー)でしょう.ここにも作者のあそびごころをうかがうことができます.