なんといえばいいのか

清水玲子『Deep Water <深淵>』(白泉社,2014年 7月)を読みました.病院のシーンにはじまり,ある女子高生の陸上競技大会での活躍を伝える記事が出てくるかとおもえば,いきなり「6年前」の事件が挿入され,この作品の主要登場人物は誰と誰で,これらの人物と事件との関係がどうなっているのかがまったくわからないまま,ストーリーが進展していきます.冒頭の10数ページをわたくしは何度かくりかえして読んでみたんですが,結局よくわからず,なんとも中途半端な気分のままに読み進めるほかありませんでした.徐々にあきらかになる事件はじつに愕くべきもので,なんといえばいいのか,まったくことばを失います.この作品の根底には,清水玲子氏によるさまざまな問題提起が秘められている,と,おもわれるのですが,ヘタな論評は,誤解をさそうばかりでしょうから,すべて略します(というより,わたくしの能力をこえていますので,差し控えます).ひとつだけ,(ややネタバレ気味ですが)個人的な感想をいうなら,「茅香」は「秘密 2003」の「絹子」に似ているようにおもいます.