情報量が多い!

蛇蔵『決してマネしないでください。1』(講談社,2014年12月)読了.この本のことは朝日新聞の広告欄(12月17日朝刊)で知りました.工科医大に通う掛田クンが学食のオバサン(といっても20歳代なかごろですが)に恋をして,告白するものの,その方面に疎くて,難解な学術用語しか口から出てこないというありさま.周囲の学生や教授たちも掛田クンを応援してくれるらしいのですが,こちらもヘンなひとたちばかりで,いつもおかしな成り行きとなる・・・,というのが筋立て(というか設定)ですが,この枠組みの中で語られる科学史のエピソードがじつに多彩で多様で,綿密に描かれているのが,このマンガの特色といえるでしょう.蛇蔵氏は科学史への関心がふかいのでしょうか,巻末には数多くの参考文献が載せられており,各章の合間にも「コボれ話」があり,登場人物の着るTシャツのロゴや文字も理科学系の用語や固有名詞で占められています.作中の人名や事項についての注も欄外に置かれていて,情報量の多さにおどろかされます.この「第1巻」には6話が収められていますが,なかでわたくしはゼンメルヴァイスの業績をあつかった第2話と,最後の「なぜ2月は28日しかないのか?」をことにおもしろく読みました.続巻がたのしみです.