あらためてとりくむ価値あり

武蔵野市立吉祥寺美術館で ≪萩尾望都SF原画展 宇宙にあそび、異世界にはばたく≫ を見ました.わたくしは,萩尾氏の作品は文庫本を数冊読んだだけで,とうてい読者であるなどとはいえないんですけど,気になる作家であったことはたしかです.それで,吉祥寺美術館に足をはこんでみました.初期の「11人いる!」あたりから現在まで,原画や扉絵やカバーイラストなどの資料を展示しています.大胆なパースペクティヴ,コマ枠の無視,オーバーラップのように1コマにことなる映像を盛りこむ描写など,じつにさまざまな手法が駆使されていることがわかります.色彩も,バックを黒で塗りつぶしたローキーな画面もあれば,色鮮やかな原色が躍動しているものと,淡い水彩画のようなおだやかな絵もあります.単行本や文庫本(のサイズ)に比べて,大判の原画は,そういうところがはっきりわかって,いいですね.わたくしは,SFというのはどうも苦手なジャンルなんですが,今回の展示にふれて,萩尾氏の作品にはあらためて挑んでみたいと,おもわされました.買っておきながらまだ読んでいないもの(『残酷な神〜』や『王妃マルゴ』など)にも,とりくみたいものです.