ちょっと変わった美術館

東京黎明アートルームで ≪花下遊楽図屏風と寛文美人図≫ を見ました.ここははじめてのところで,たまたまチラシを入手したのでいってみたんですが,ちょっと変わった美術館だ,というのが正直な感想です.タイトルに謳われている屏風と美人図のほか,肉筆浮世絵が2点,絵巻の断簡が2点,さらに日本の陶磁器とアジアの仏教彫刻が多数陳列されており,この陶磁器と仏教彫刻の大半は常設展示品なのだとか.分量的にはさほどおおくはないのですけど,ゆったりした室内でおちついて眺めることができました.この美術館は今月が開室1周年なのだそうです.いったいどれほどの収蔵品があり,どんなコンセプトで展示をおこなっているのか,よくわからないながらも,どれもおもしろく見た,と告白しておきます.「花下遊楽図屏風」は有名な「彦根屏風」に似たところのある作風で,江戸初期の雰囲気を伝えてくれています.「寛文美人図」もふくよかな見返り美人でいいのですけど,わたくしはそれよりも「若衆図」の方に惹かれました.薄い小袖をとおして,素足が透けて見えるのがエロチックです.常設展示のなかでは,パキスタンアフガニスタンの仏像がすごいです.千数百年前にこれほどのこまかい彫刻がなされたことに,そしてそれが今日にまで伝えられていたことに感動しました.ほかには「経筒・外容器」や埋納品があり,六田知弘氏撮影の「白い途」と題する写真一葉もありました.これは,写真とはおもえぬほどの作品です.