流麗と雄渾と

国立新美術館で ≪ミュシャ展≫ を見てきました.ミュシャといえば,流麗なアール・ヌーヴォー調の美人画や装飾的な花などで知られていますけど,今回の展示では「スラヴ叙事詩」を前面に押しだしています.会場に入るとすぐに,巨大な,高さが6メートルほどもある画面がいくつも目に飛びこんできて,その大きさに圧倒されます.古代から20世紀までのスラヴ民族の歴史をあるいは象徴的に,あるいはリアルに描きだしており,よくもこれほどのものを創った,としかいいようがありません.もっとも,美術作品としてなら,サラ・ベルナールを描いたものや,芸術や花々を擬人化したもののほうが見て楽しめるのですが・・・,ミュシャというひとはけっしてそれだけではない,ということを教えられました.建築の仕事をしたり,切手や紙幣のデザインもあり,きわめて多彩(多才)な活動をおこなったひとだというべきでしょう.