とんでもない部分への注目

鈴木堅弘『とんでも春画 妖怪・幽霊・けものたち』(とんぼの本,新潮社,2017年 5月)を読みました.春画をあつかった本はこれまでにも多々ありますが,本書は「尋常ならざる」部分に着目しているのが特色です.日本の春画は,男女のセックスシーンだけでなく,「ありとあらゆる性の交わり」を描いているのだそうです.それを,「妖怪/幽霊・死者/神仏/鬼・地獄/動物/奇想天外」の項目にわけて掲出し,解説しています.よくまあこんなにヘンなものをあれこれと考え出した,といいたいくらい,いろいろなものがあります.さらに,それらの背後にある江戸の文化や民族的習俗などを論じており,「春画」にかんする見解の再考をうながしているともいえます.