どう評価すればいいのか,よくわからない

近藤ようこ([原作]田中貢太郎)『蟇の血』(KADOKAWA,2018年 2月)読了.標題に記したとおり,なんといえばいいか,よくわかりません.「あとがき」で近藤氏は「田中貢太郎は大正から昭和にかけて広い分野で活躍した作家らしい。[中略][「蟇の血」は]おそらく関東大震災直前くらいの作品。昭和のエログロナンセンスを先取りするような、奇妙で可笑しく、しかもわけのわからない恐ろしい話だ」と書かれています.田中貢太郎というひとは,井伏鱒二氏が若いころに兄事しており,初期の作品「鯉」も田中氏が発行していた雑誌に掲載されたはずです.が,こんなヘンな小説を書いていたとは知りませんでした.これを漫画化するにあたっての近藤氏のてぎわも,入念な部分と簡略な絵,ローキーな画面や大ゴマなどが大胆に入り混じっていて,楽しんで味わうことができます.