梅まつり

春らしいうららかな気候にさそわれて,府中市郷土の森博物館にいってきました.ふつうなら庭園とか公園と呼ぶところを,ここは「博物館」と称しているようです.むろん博物館の建物もあって,歴史的・考古学的な資料を展示していますが,今の季節は梅見のほ…

こんな人がいた

今日は杉並区立郷土博物館 分館で ≪江渡狄嶺資料展≫ を見ました.狄嶺とは「大正から昭和初期にかけて高井戸を拠点に活動した、青森県三戸郡五戸町出身の農業思想家」だそうです.東京帝国大学に進んだものの,「百姓の生活というものが一番正しいものである…

こんな人がいたの(?)

国立科学博物館で ≪南方熊楠 100年早かった智の人≫ を見てきました.熊楠のなまえは知っていたんですが,著書を読んだことはなく,具体的にどんな業績があったのかも知りませんでした.今回の展示では生涯をたどりつつ,為したことをさまざまな資料で示して…

あきれた対応

アメリカの高校での銃乱射事件に関して,トランプ大統領は教師にピストルを持たせるという提案をしたそうです.もし,その教師がピストルを乱射したら,どうするんでしょうか.そうした可能性を考慮していない点において,このトランプというひとの思考回路…

よくまあ,集めたもんだ

Bunkamura ザ・ミュージアムで ≪ルドルフ2世の驚異の世界展≫ を見てきました.ハプスプルク家の皇帝という立場にありながら,政治よりも文芸や美術や自然科学などへの関心が高かったらしいルドルフが財力にものをいわせて集めたモノ(の一部)がすなわち今…

どう評価すればいいのか,よくわからない

近藤ようこ([原作]田中貢太郎)『蟇の血』(KADOKAWA,2018年 2月)読了.標題に記したとおり,なんといえばいいか,よくわかりません.「あとがき」で近藤氏は「田中貢太郎は大正から昭和にかけて広い分野で活躍した作家らしい。[中略][「蟇の血」は…

ガラス器あれこれ

一ヶ月あまり更新をおこたってしまいました.先月下旬の降雪以来,外出することも少なく,見逃してしまった美術展もいくつかあります.これではイカンと,今日は新宿歴史博物館にいって ≪色ガラス芸術のパイオニア 岩田藤七、久利≫ を見てきました.岩田藤七…

ことし初めての読書

なにもしない三が日を過ごしてしまい,これではいけないと,溜まっていた本のうちから山岸凉子『レベレーション(啓示)3』(講談社,2017年12月)をとりだして読んでみました.既刊の『1』と『2』もざっと読みかえしました.ほとんど忘れていて,初めて読む…

ことし印象にのこったもの

怠け癖というのはおそろしいもので,更新をおこたったまま,とうとう大晦日をむかえてしまいました.ことし印象にのこったものを書いておきます. 美術展では上野の森美術館の ≪怖い絵展≫.ブログには書きませんでしたけど,感想をことばに書きあらわすこと…

こんな人がいたの?

練馬区立 牧野記念庭園記念館の企画展 ≪雪斎・竹斎 英国キュー王立植物園帰国展≫ を見てきました.服部雪斎,加藤竹斎ともに江戸後期から明治前期にかけて植物画の制作に携わったのだそうです.伝統的な絵画としての花鳥画ではなく,博物学的な観点からの「…

装飾への執念(?)

三軒茶屋の生活工房ギャラリーで ≪ミャオ族の刺繍と暮らし展≫ を見てきました.ミャオ族とは中国西南部の貴州省に多く暮らしている少数民族だそうです.その民族衣装には入念な刺繍がほどこされているのが特色で,母から娘へと,技術の伝承がなされてきたの…

装飾への意欲と謙虚さ

国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館の特別展 ≪縞と格子≫ を見ました.武士や金持ち商人などの上層階級ならば着物に豪華な吉祥文様や花鳥図を描いたり織り出したりさせたでしょうが,ビンポーニンにはそんなことはおよびもつきません.それでも,無地では飽…

込められたエネルギーに驚く

杉並区立郷土博物館分館の企画展 ≪8時だよ! 全員集合 昭和45年8月8日 旧杉並公会堂生放送≫ を見てきました.昭和44年から16年間にわたって放送されたこの公開バラエティ番組は「全国各地の公会堂や市民会館などからの生放送」だったのだそうです.そのうち…

装飾への執着におどろく

五島美術館で ≪光彩の巧み 瑠璃・玻璃・七宝≫ を見ました.キラキラ輝くものへのあこがれは古今東西,どの文明にも共通してあるのでしょうか.本展示では日本の七宝かざりを色々と紹介していますが,道具類(ことにやや小さいもの)にほどこされた品がおおい…

雅びの極致

千葉市美術館で ≪ボストン美術館浮世絵名品展 鈴木春信≫ を見ました.これほど多くの春信作品に接するのは,はじめてです.世俗のしがらみなどをまったく感じさせない,雅やかな男女の姿を見ているだけで,幸福に気分にさせてくれます.しかも,それだけでな…

重量感と躍動感

東京国立博物館で ≪運慶≫ を見ました.10時すこし前に着いたのですが,かなり長い列ができており,入場まで30分ちかく待たされ,館内も相当に混雑していました.でも,やはりいってよかったです.写真で見るのと実物に接するのとでは,「迫力」といったらい…

意匠への執念(?)におどろく

町田市立博物館で ≪江戸の粋 明治のシック 型染めデザインの美≫ を見てきました.3年前に石神井公園ふるさと文化館での企画展「型紙の美」に驚嘆したおぼえがあるのですが,それにつづく体験です.なんとも素晴らしいというか,あるいは(いっそ)偏執狂的…

悲惨な体験をユーモラス(?)に描く

九段生涯学習館2階の九段ギャラリーで ≪マンガで描いた抑留・引揚げのガマン≫ を見てきました.昭和20年 8月,日本の敗戦の直前,満州などにいた日本人に大変な事態が到来します.「軍人・軍属を中心とした約57万5千人が、シベリアを始めとする旧ソ連やモン…

語り伝えるということ

年長のひと(両親とか祖父母など)からむかしの話を聞いた,という体験はたいていのひとがしているでしょう.しかし,「むかしの話」はかならずしも口承によってなされるとは限りません.文章に書きのこす,という方法もあれば,絵に描いて伝える,というこ…

めずらしい切手とは

お札と切手の博物館で ≪切手の国の探検隊 〜めずらしい切手を求めて〜≫ を見てきました.希少な切手ばかりを展示しているのかとおもったら,そうではなく,ふたつの面から「めずらしい切手」に迫ろうとしているかのようです.ひとつは郵便制度としての切手に…

多様さに驚く

目黒区美術館で ≪ヨーロッパの木の玩具 ドイツ、スイス、北欧を中心に≫ を見てきました.木の玩具といえば,積木とか人形といった比較的単純なものを思いうかべますが,じつに多種多様なものがあることに驚かされました.積木にしても,同じ形のものだけから…

人生いろいろ

中野区立歴史民俗資料館で ≪「人生」すごろく その時代の学びと遊び≫ を見ました.チラシに「絵すごろくには、時代ごとの人びとの人生観や憧れが凝縮されており、興味深い歴史資料として注目されています」とあります.こうした観点から,江戸末期から昭和20…

本の魅力(?)

山田英生(編)『ビブリオ漫画文庫』(ちくま文庫,筑摩書房,二〇一七年八月)読了.オビに「本がテーマの傑作マンガ集」とあります.古本屋を舞台にしたマンガや,本にまつわる思い出などをあつかった作品19点を6項目に分けて掲載しています.なかにはオカ…

絵の背後にあるもの

国立西洋美術館で ≪アルチンボルド展≫ を見ました.アルチンボルドといえば,ひとの顔をくだものや魚の寄せ集めで描いた画家として知られており,まずはそうしたケッタイな絵をおもしろく見たんですが,じつはそれだけではなく,当時のひとびとの世界観(と…

堪能

きのうは秋乃茉莉『賢者の石 冥府の柘榴』(ぶんか社,2017年 8月)を,そしてきょうは(買ってきたばかりの)遠藤淑子『なごみクラブ 8』(竹書房,2017年 8月)を読みました.テーマも作風もまるでちがいますけど,どちらも堪能し,充実した読後感を味わう…

不思議な感触

練馬区立美術館で ≪太齋春夫展≫ を見ました.たまたま,インターネット上である美術ファンの方が紹介されていたので,いってみたんですが,なんといえばいいんでしょうか,こんなのもあるの,というのが正直な感想です.サブタイトルに「生誕110年記念 漆の…

超ユニーク

川原 泉『バーナム効果であるあるがある』(白泉社,2017年 7月)読了.待望の新刊です.例によっての川原氏独自の魅力(特色?)満載で,なんといっていいのか,評することばが見当たらない,というのが正直な感想です.

ちかごろ面白く読んだ本

浜本隆志『シンデレラの謎 なぜ時代を超えて世界中に拡がったのか』(河出書房新社,2017年 6月)読了.とにかく面白いです.サブタイトルにあるように,古代から現代にわたり,ヨーロッパだけでなくエジプトや中近東やアジアを発祥の地として,さまざまに改…

執念 ?

牧野記念庭園記念館で ≪牧野式植物図への道 I −種の全体像を描くために−≫ を見てきました.記念館の常設展示室にも富太郎の描いた植物図が何点か展示されていますけれど,そちらは牧野の植物図の特色を解説することにウェイトが置かれている(らしい)のに対…

とんでもない部分への注目

鈴木堅弘『とんでも春画 妖怪・幽霊・けものたち』(とんぼの本,新潮社,2017年 5月)を読みました.春画をあつかった本はこれまでにも多々ありますが,本書は「尋常ならざる」部分に着目しているのが特色です.日本の春画は,男女のセックスシーンだけでな…