2013-01-01から1年間の記事一覧

「楽器」が主役

学習院大学でおこなわれた「第七〇回 学習院大学史料館講座「音を創る・音をつなぐ」」にいってきました.2部構成になっており,「第I部:講演」は松下敏幸氏による「クレモナにおける歴史的名器の制作伝統と日本人初の弦楽器制作者鈴木政吉について」とい…

濫造だけれど粗製でない

日本橋高島屋の8階ホールで ≪生誕130年 ユトリロ展≫ を見ました.初期から最晩年まで,80点ちかい作品(日本初公開のものもあり)を展示しています.ユトリロといえば,もっぱら白っぽい建物の風景画を描いたひと,というイメージがありますけど,そればか…

好もしい著書であるだけに,あえて苦言を

山川静夫『歌舞伎は恋 山川静夫の芝居話』(淡交社,平成25年 6月)を読みました.『演劇界』に連載した随筆を中心に,種々の雑誌などに寄せたエッセイを<第一章 歌舞伎は恋/第二章 かぶきのたて糸・よこ糸/第三章 かぶきことばあれこれ/第四章 忘られぬ…

不気味ななかのユーモアとうつくしさのなかの不気味さ

損保ジャパン東郷青児美術館で ≪オディロン・ルドン 夢の起源≫ を見てきました.<第1部 幻想のふるさとボルドー/第2部 「黒」の画家/第3部 色彩のファンタジー>という3部構成になっています.「第2部」がなんといっても不気味ですね.『夢のなかで…

大奥とは

江戸東京たてもの園で ≪特別展 大奥女中とゆかりの寺院≫ を見てきました.江戸大奥というと,いかにも淫靡であやしげな世界であるかのようで,そうした面をことさらに強調した作品(小説や映画やマンガなど)がいろいろとつくられてきましたけど,実情はどう…

まったくべつの歴史像

井上章一(編)『性欲の研究 エロティック・アジア』(平凡社,2013年 5月)を読みました.『性の用語集』(講談社現代新書,二〇〇四年一二月)や『性欲の文化史 1,2』(講談社選書メチエ,二〇〇八年一〇月,一一月)などにつづく研究成果が刊行されたこと…

文楽人形のすごさがわかります

池袋の<あうるすぽっと劇場ホワイエ>というところで河原久雄氏の写真展 ≪近松門左衛門の世界≫ を見てきました.「第三回」とあるので,これまでにもおこなわれていたのでしょうか.たまたまこの催しのことを知ったのでいってみたんですが,すばらしいです…

そらあすか氏に感化されたのでしょうか

二木謙一・須藤茂樹『ビジュアル選書 戦国武将の肖像画』(新人物往来社,二〇一一年一月)という本を図書館で見かけ,借りだして読んでみました.「肖像画をめぐる謎」と題する「はじめに」はいわば総論で,<肖像画>というものについてのあれこれを語って…

端午の節句の飾りたて

きょうは中野区立歴史民俗資料館で ≪企画展 端午の節句≫ を見ました.このブログには記しませんでしたけど,先月末以来,武蔵村山市立歴史民俗資料館,石神井公園ふるさと文化館に隣接する旧内田家住宅,杉並区立郷土博物館でおなじような展示を見ています.…

なんとも重苦しい・・・

国立ハンセン病資料館で ≪一遍聖絵・極楽寺絵図にみるハンセン病患者 〜中世前期の患者への眼差しと処遇〜≫ を見てきました.所沢街道沿いにある多磨全生園がハンセン病患者の療養施設だということは知っていましたけど,そこに隣接してこういう資料館があっ…

エッセイマンガというかなんというか

そらあすか氏の本を3冊,入手できたものから順に読んでみました.すなわち『マンガ・日本人なら知っておきたい! 戦国武将、ゆるイイ話』(講談社,2011年10月),『戦国武女子、参る! いっそ武将に仕えたい!』(メディアファクトリー,2009年 9月),『…

山岸凉子氏の新境地(?)が期待できるかも

山岸凉子『言霊』(講談社,2013年 5月)を読みました.山岸氏には,ご自身が創作し到達された世界をさらにダメ押しするかのように,ちがった角度から再検討しようとする傾向があるようですね.「日出処の天子」のあとに描かれた「馬屋古女王」はまさにそれ…

明治時代前期の様相

GAS MUSEUM がす資料館の ≪文明開化と女性たち 明治の美人画展≫ にいってきました.幕末から明治時代中ごろまでの「美人画」40点あまりを紹介しています.GAS MUSEUM はガス灯が描かれた浮世絵ばかりを集めているとおもっていたのですが,それだけではなく,…

さすが中国はスケールがちがう(またはわたくしの勝手な連想)

中国の「労働教養所」における暴行の実態をあらわにする文書が公表されたという朝日新聞の記事(5月8日朝刊)からおもいだして,秋乃茉莉『傀儡華遊戯 〜チャイニーズ・コッペリア〜 3』(ぶんか社,2013年 4月)をざっと再読しました.巻末に付された「原典…

なんといったらいいのか・・・

そらあすか『そらあすかのまんが❤日本史BLばなし』(新書館,2013年 5月)という本を書店の店頭で見かけて,つい買ってしまいました.古代から江戸時代まで,4部に分けて全35項目すべてその手のはなしばかりを載せています.足利義満が世阿弥を寵愛したと…

歌舞伎座をめぐるあれこれ

『和樂 六月号 特集 新しい歌舞伎の時代がやってきた!』を買いました.歌舞伎座の新開場を記念しての企画で,「坂東玉三郎と巡る新しい歌舞伎座」など歌舞伎関連の記事がいろいろとあります.ごく一部をひろい読みしただけですけど,「歌舞伎名作十演目入門…

いまや世界的な規模となっている「マンガ」

森下文化センターで ≪外国マンガの世界≫ を見ました.チラシには「「スーパーマン」や「スパイダーマン」をはじめとするスーパーヒーロー。「スヌーピー」や「トムとジェリー」などの愛らしいキャラクター。今回、「田河水泡・のらくろ館」には、アメリカン…

でかい!

国立新美術館で ≪貴婦人と一角獣展≫ を見ました.でかいですね,というのが第一印象です.このタピスリーをつくるのに,どれほどの人手と時間とお金がかかったんでしょうか.そしてそれを飾るだけのスペースを有するひとたちがいたということにもおどろかさ…

昭和芸能史への一証言

山田庄一『上方芸能 今昔がたり 昭和の舞台覚え書き』(岩波書店,2013年 3月)を読みました.山田氏は「1925年大阪生まれ.[・・・]1947年京都帝国大学医学部薬学科卒.岐阜薬科大学助教授,毎日新聞記者を経て,1966年国立劇場の開場にあたり創立メンバーと…

幽霊いろいろ

安村敏信『肉筆幽霊画の世界』(新人物往来社,2013年 3月)読了.8章にわけてさまざまな幽霊画を紹介しつつ,幽霊および幽霊画にまつわる話題を「コラム」に記し,巻末には「幽霊画はどこから生まれてきたのか?」と題する解説を置いています.「幽霊画コ…

雑学のおもしろさ

橋爪紳也(編著)『大阪府謎解き散歩』(新人物文庫,中経出版,2013年 4月)読了.こんなシリーズが出ていたなんて,知りませんでした.巻末の広告には「「謎解き散歩シリーズ」全都道府県完全制覇!」とあって,「滋賀県」は2013年 5月刊行予定だそうです…

たのしいイベント

西武池袋本店別館8Fのコミカレホールで開催された波津彬子氏の≪トーク&サイン会≫に参加して,先週買った『雨柳堂夢咄 其ノ十四』にサインをしてもらいました.トークイベントのお相手はTONO氏です.おふたりともずいぶんデフォルメされた自画像をマンガに…

歌右衛門にまつわるあれこれ

エンパクで ≪六世 中村歌右衛門展 思い出の名舞台≫ を見てきました.「『籠釣瓶』八ツ橋や『娘道成寺』花子のほか『本朝廿四孝』八重垣姫、『隅田川』斑女の前、『壇浦兜軍記』阿古屋など、歌右衛門が歌舞伎座で青年時代から演じ続けた当り役の数々をとりあ…

モダンな感覚におどろく

さいたま市立漫画会館で ≪北沢楽天原画展 『時事漫画』≫ を見てきました.「日本初の新聞日曜版・大正10年創刊」というサブタイトルが付されています.明治15年に福沢諭吉が創刊した『時事新報』には明治35年に「時事漫画」コーナーが登場し,さらに大正10年…

「ネタがない」そうですが,なかなかどうして

波津彬子『雨柳堂夢咄 其ノ十四』(Nemuki+コミックス,朝日新聞出版,2013年 4月)読了.長短あわせて8編をおさめています.まえに読んだのと似たようなはなしもありますが,けっしてマンネリや二番煎じではなく,べつの角度からの創作がなされている,と…

すでに散りはじめていますが

飛鳥山公園にいってきました.ことしは梅の開花がおくれていたのに,さくらは逆に早咲きで,オマケにあすとあさっては台風なみの天候との予想があるせいでしょうか,公園内におおぜいの花見客があふれていました.といっても家族づれなど健全なひとびとが多…

歌舞伎あれこれ

『東京人 五月号』を買いました.「特集 いざ、歌舞伎へ」と銘打っており,新開場した歌舞伎座のことや注目の役者,歌舞伎の歴史など,さまざまな角度からのアプローチがなされています.ごく一部をひろい読みしただけですけど,伊達なつめ氏の「三代目猿之…

中原淳一の活動とその背後

昭和館で ≪中原淳一の生きた戦中・戦後 〜少女像にこめた夢と憧れ〜≫ を見ました.チラシに「本展は、生誕100周年と没後30周年を記念し、これまであまり紹介されることがなかった特に戦中・戦後の活動にスポットをあて、彼の業績を紹介します。また、戦地へ…

タダのところばっかり

ミュージアムを3か所ハシゴしてきました.はじめにいったのが中野区立歴史民俗資料館の ≪江戸明治絵画の粋≫ です.区内の旧家に伝わった作品12点を展示しています.酒井抱一や椿椿山や河鍋暁斎など,中野あたりによくこんなのがあったな,といったら失礼か…

よくぞ公開してくれた! 興味深い資料

県立神奈川近代文学館で ≪添田啞蟬坊・知道展 明治・大正のストリート・シンガー≫ を見てきました.ふたりの生涯と活動をさまざまな資料によって示しています.演歌本の実物や書籍,原稿,書簡,むかしの写真など.壁面には代表作のいくつかの歌詞を張り出し…